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バッハの平均律。

夢と言うのは凄いものだと、久しぶりに目覚めながら思いました。人によっては全く夢を覚えていないとか、モノクロとか、色々な話を聞きますが、私の場合はフルカラーな上に、匂い、味、音、触感付き。夢の途中で起きてしまって、もう一度続きを見ようと再寝すると続きが見れる事もあるし、あまりにも恐ろしすぎる夢なので「ここで中断!」と夢から自分を覚ますことも出来たりして、たまに爽やかな目覚めの筈が、まるで映画を三本立てで見たような感覚だったりすることもあります。
今朝の夢はそれで行くと、久しぶりに見るかなりリアルでヘビー夢でした。

舞台は私の母校、ミュンヘン国立音楽大学のホールで自分の卒業試験というシチュエーション。
試験は一般公開で300人ほどのお客さんが座っていて、その中には私のピアノの教授だったシェーファー教授も心配そうに座っています。
バッハ、ベートーベン、シューマン、ショパンのエチュード、メシアン・・と古典から現代まで一色弾く心づもりでピアノに座るのですが・・・

一番最初のバッハ。平均律第二巻の一番、ハ長調のプレリュードを弾きながら「ん?この後のフーガってどんな曲だっけ?」

そう思い始めたら6小節目で指が全く回らなくなり、そもそも、そのあとのベートーベンのソナタだってまだ終楽章まで譜読みしていないし、さらにシューマンの何の曲を弾くのか曲名すら分らないし、どうしよう!!! そう思って客席を見ると沢山の人が気の毒そうな顔をして席を立とうとしているのです。

ええい!こうなったらとりあえずいつでも弾けるモーツァルトのハ長調のソナタ第一テーマだけ弾いて、そのあとテーマを即興で変えながらサルサにしちゃえば時間稼ぎができるかもしれないと思い、モーツァルトを弾き始めるのです。
しかし客席は更に立ち去る人が後を絶たず、気が付いたら教授とボブ・マーリーのような風貌をした人が5人だけ残っていたという恐ろしい夢でした。

大学を卒業して果てしなく長く時が過ぎているのに、絶対的な臨場感を持ってバッハの一音一音が響き甦る強烈な夢なのです。
起きてからも、そのハ長調の旋律が頭からまるで離れてくれません。耳の中でグルグル回る旋律を何とか止めようと、思わずバッハの平均律集第二巻の楽譜を引っ張り出して来て久しぶりに弾いてみると・・・。
不思議なものです。現実で夢の音を重ねあわせて行くと、どんどん音が消滅して頭の中に静けさが戻ってくる気がしました。
いやぁ、毒は毒を以って制する同種療法とは良く言ったものだ・・・二日酔いに一番聞くのは一滴の酒とも言うし、などど感心しつつ、いやいやバッハは毒や二日酔いな訳がないではないかと発言撤回したり・・、結局今日も作曲が進まないまま日が暮れてしまったのでした(T_T)。

  • 2012年07月26日(木)06時32分
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