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愛ちゃん、奈々ちゃん。

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日本での3週間半の滞在があっという間に過ぎてしまいました。

色々な事がありすぎて、ゆっくりパソコンに向かって言葉を綴る事ができない毎日でした。
でも、最近慣れないなりにフェイスブックを更新するようになりました。もしご興味のある方はそちらもご覧になってください。
「Mine Kawakami」で出てきます。日本語とスペイン語で(ほぼ)毎日更新しています。

震災後一年の3月11日に石巻に行ってから一カ月が過ぎようとしている事が信じられないほど、長い時が過ぎた気がします。

全ての人にとって、あまりにも多くの思いや体験、今も続く影響など私にはとても言葉にして書くことが出来ませんが、今回石巻に行って二人の若い女性に音楽を通してある事を強く感じました。

石巻に行ったのは、震災後一年として放送されたNHKの特別番組の出演の為でした。
石巻で被災し、この春保育士になった愛ちゃんと、愛ちゃんの友達で同じく石巻に暮らす学生の奈々ちゃんという、二人の女の子が歌うコブクロの「ワインディング・ロード」をピアノでアレンジして伴奏するのが私が頂いた役目でした。

番組は生放送で、放送の3日前に仙台の音楽スタジオで練習が始まりました。
昔から歌が大好きだったという二人の歌唱力はとてもアマチュアとは思えないほどで、初めて合わせるピアノでも全く動じずに歌いこなして行きます。
ちなみに、NHKのスタッフの話によると、石巻は歌が上手い人が多い事で有名で、石巻のカラオケコンテストで優勝するのは、NHKのど自慢で優勝するより難しいと言われているのだそうです。
その石巻のコンテストで愛ちゃんは高校生の時優勝した経験があるそうです。
そんな愛ちゃんですが、会ってみると高校を卒業したばかりの可愛い女の子で、一緒にやってきた同級生達とも、同世代らしい会話(私には少々分らないテーマも多くて少々オバサンを感じつつ)をして楽しそうにしていました。

本番には、司会の高橋ジョージさんも到着し、3月11日13時15分、番組が始まりました。
番組は、福島や鹿児島、長野など音楽を通して様々な中継地が繋がって行きます。
私達の会場は石巻高校の音楽室。テレビカメラやスタッフが沢山入った音楽室の前方に愛ちゃんと奈々ちゃん、そして応援にきた新社会人の若者が並び、その横に私が座るグランドピアノがあります。グランドピアノの横からは、石巻の街とその向こうには津波が押し寄せた跡も、海も、全てが広がっていました。

5,4,3,2・・・・私達の歌の本番が始まりました。
はじめは二人のアカペラ、そして私の前奏が続きます。
このアカペラの最初の二人の歌声を聞いた時、ここ数年感じたことのない物凄い何かが体の中を走り抜けて行く感覚を覚えました。

それは、音楽という一つの糸を通して爆発的に広がるエネルギーであり、一瞬にして人それぞれの奥深くに潜んでいる心の扉までたどり着いて、それを思い切り叩くような力強さであり、「歌詞」という自分の言葉ではないすでに存在している言葉と旋律を通して、本来の自分が口頭で放とうとする言葉よりもずっと的確に思いを伝える事ができる凄さでした。

二人から沸き上がる天地がひっくり返るようなパワーに圧倒されて、曲はどんどん進んで行くのに、私の視界はまるでモネかターナーの絵画のようにジワジワと輪郭や線が消え、鍵盤と鍵盤の境目の線が消え、黒鍵と白鍵の白黒二種類しか見えなくなり、涙が膝上にぼたぼたと落ちて行くと言う、なった事のない惨状となって行ったのでした。

自然がもつ恐ろしい程の力に私達の存在はどうにもならないほど小さいとは分っていても、この二人の歌声を聞いた時、こんなちっぽけな私達人間の中には、何てはかり知れない力が潜んでいるのだろうと思わずにはいられませんでした。

愛ちゃん、奈々ちゃん。これからもずっと応援しています。

  • 2012年04月07日(土)23時27分
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