DIARY

記事一覧

トリニーとゴキ。

アップロードファイル 166-1.jpg

先日のマドリッドのコンサートが放送されたのを見て、トリニーという女性からメールが届きました。

このトリニー。今から15年前に初めてキューバに行った時のハバナ行きの飛行機の隣席に座っていた女性で、ホテルも同じ、帰りの便も同じ、という不思議なご縁で繋がった人でした。
その後、数回手紙は行き来したものの、10年以上お互いの連絡先も分からないままでした。

当時私はハバナ国際現代音楽祭で演奏会をしに行ったのですが、薬剤師の卵だったのトリニーは国際薬剤師学会に出席する為にキューバに行ったのでした。
彼女も私もキューバを旅するのは初めてで飛行機の中でお互い胸の高鳴る思いを語った事を今でも覚えています。

ハバナ空港からホテルに行った時の事です。
深夜と言う事もあってか、街も真っ暗、ホテルも真っ暗。街灯もホテルも街全てが全部停電していて、チェックインも懐中電灯の光での手続きです。鍵をもらって手さぐりで部屋に辿り着き、ドアを開けた瞬間。黒い小さな影がワサワサワサっと動いたような気がしました。
「マックロクロスケ・・??」
長旅の疲れと時差で、深く考える気力もなく、とにかくシャワーを浴びて寝る事にしました。
キューバのシャワーと言うのは、シャワーヘッドが天井に固定されていて、蛇口をひねると天井からザザーっと水が降ってくる・・という構造なのですが、このホテルの天井は果てしなく高く、しかもシャワーヘッドはほとんどの穴が根詰まりを起こしていて、どう言う訳か何十とある水が出てくるハズの穴のうち、端っこの一つの穴と、その対角線上にあるもう一つの穴から二本の水が外側にむかって真横に出てくるのです。
梯子を使っても届かないほど高い所にとりつけられているシャワーヘッドの二本の穴から出てくる水はバスルームの左右両端に噴き出し、シャワーの真下に居る私には一滴たりとも降ってこない・・・。こんなシャワーやってられるかーッというシャワーです。

フロントに行く元気もなく、電話も故障していて使えず、しかたなくコンタクトレンズを外して、水を一杯飲んで寝ることにしました。

その夜・・・・・。夢なのか、現実なのか、体の上や顔の周りを何かがシャカシャカと動いている気がして仕方ありませんでした。ただ、あまりにも疲れていて、それを追及する前に眠りに落ちて行くのでした。

たっぷり寝て元気に目が覚めた翌朝。ベッドの横に置いてあった夕べの飲みかけの水が残っているコップを見ると、コップの中身が真っ黒になっています。何しろコンタクトレンズをしていないと良く見えないのです。
「夕べ飲んだのはコカコーラじゃなくて水のはず・・・」
と、コップに近寄って見てみると・・・。
コップの中は確かに水なのですが、そこに大中小様々なサイズのゴキブリ君が10匹ほどおしくらまんじゅうのように溺死しているではありませんか。

タダチに脱出しようと、荷造りをしてホテルを後にするのに15分もかかりませんでした。
そして、今回の旅行を予約した旅行代理店の事務所にホテルを変えてもらうよう交渉に行くと・・・そこには見覚えのある姿が。
目の下に真っ黒にクマを作って髪の毛もボーボーとなったトリニーが私と同じように荷物をまとめて、代理店の人と交渉しているのです。

可哀想にトリニーは水の出ないシャワー室で素足のままゴキブリを踏みつぶし、その足を洗う事もできないまま寝た所、今度は耳にゴキブリが侵入し、そのまま一睡も出来ず、荷物をまとめてやって来ていたのでした。

トリニーのメールでは、あれから薬剤師になって、自分の薬局も持ち、今は結婚してマドリッドに住んでいるそうです。
次回マドリッドでキューバの懐かし話しましょう!と言う事になりました。


写真はトリニーが送ってきてくれたハバナのバス(というかバスと言う名のダンプカー)での写真です。さすがに15年前の新鮮な風貌の自分に少々愕然としましたが・・。

  • 2011年05月19日(木)17時34分
powered by Web Diary