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坂本龍一さん万歳。

夕べ、坂本龍一さんのコンサートに行ってきました。
先週15日のマドリッド公演に行きたかったのですが、丁度同じ日に私も演奏会があったので行けなかったため、サカモトスペイン公演最終日の昨日、バヤドリッドという街での演奏会に行くことが出来ました。

演奏会は非常に心に響くものでした。
今回はピアノ、バイオリン、チェロの三重奏でスクリーンなどの大がかりなセットはなく、クラシック音楽に近いスタイルのコンサートでした。

プログラムも解説も無く、坂本音楽を聴きこんでいない人には、何の曲を弾いているのかはわからないだろうという流れで、次から次へと曲が続いて行きました。
曲が一曲終わってもそこで坂本氏は立ち上がる事も無く、拍手が起こると何となく横目で笑顔も見せずに軽く会釈をして次の曲を弾き始める・・一つ一つの動作が大きいスペイン人にとってはそんな姿もどこか新鮮だったのでしょうか。

1時間半以上、途切れることなく演奏が続く中で、ほとんどがピアニシモか最高でもメゾピアノほどの小さい音量。驚くような演奏技巧を見せるソロもパッセージもなく、ビックリするような照明が展開されることもなく、バイオリニストもチェリストも同様に自己を誇張するような音を全く出さずに、むしろ時々どちらがバイオリンを弾いてチェロを弾いているのかも分からないほど音が重なったり別れたりして、ひたすら音楽が流れ過ぎて行く・・・そんな空間に身を置くうちに、ああ、どこか日本の禅の庭を見ている時と似ているのではないか、とそんな気がしてくるのでした。

始まった以上、決して立ち上がることも出て行くこともできないコンサートホールという巨大な密閉された空間の中で、計算され準備され尽くされた舞台環境と音楽が粛々と流れ行く。
お客さんは、「さあ、どんな音楽を聞かせて楽しませてくれるのか見てみようじゃないか」と受け身になるのではなく、むしろその空間に向かって耳を澄まし、目を開き、心を澄まし、空になって自分から響きや動きを探しに行く・・そんな途轍もない音楽の空間がありました。
坂本龍一の音楽は、音と音、音と人、音と時間の調和であり、その大きな世界の中の一部に自分があるという、言葉ではうまく説明できない納得感と心地よさと喜びがあるような、音楽を越えた何かを感じずにはいられないそんな夜でした。

  • 2011年11月22日(火)04時00分
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