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カツサンドとピアノ

最近は2ヶ月に一度の間隔で日本に戻って来ている。
定期的に戻ろうと決めている訳ではないが、気がつくとここ1年はそんな日本とスペインに行き来するリズムができている。

日本に帰るとまず食べたくなるニホンショク、それは私にとってカツサンドだ。

普段はあまり肉は食べない方なのだが、関西空港に降り立って入国手続きを越えた頃にはさてどこでカツサンドを買おうかと考える。そして、帰国中様々な場所を訪れる先々でカツサンドを買い、それを食しながら車窓風景を見る事ほど好きな一人時間の過ごし方はない。
私は日本全国に存在する相当数のカツサンドを食べ続けてきた密かな通であると信じている。

何故これほどこの食べ物に惹かれるのか。
単純に味が好きと言えばそれまでなのだが、もっと奥深い理由は
日本製カツサンドと日本のピアノが非常に似ていると思うからかもしれない。

日本のカツサンドは完璧だと思う。
極め尽くされた食パン。こだわり抜いた技術で揚げられる肉の味と触感。その二つを繋ぐソースが持つ、前に出過ぎずとも揺るぎない懐かしく深い味。そして、研ぎ澄まされた日本刀で切ったような美しい断面と、人の口に合わせた思いやりのある完璧なサイズ。
食材の根源は全て西洋にありながら、その食材を合わせて形になったカツサンドの魂はどこまでも日本な食べ物なのだ。
ちなみにスペインではバゲットのようなパンにはさんで食べるカツサンドはあるものの、日本的カツサンドに匹敵する食べ物は見た事がない。


日本人ほど世界に物事を極めに修行の旅へと出る国民はいないと思う。
ドイツに住めば山のように優秀な日本人ピアニストに出逢い、キューバに住めばサルサやパーカッションを学びに来ている日本人に至る所で遭遇し、アルゼンチンに行けばタンゴ留学、スペインの南に行けばフラメンコ留学、北に行けばスペインケルトのバグパイプ留学にカスタネット留学・・とにかく地球上どこにいっても修行中ニッポン人に遭遇する。しかも彼らはとにかく貪欲に学ぶので時には現地人さえをも脅かすほどの技術を身につけ、最後には迷惑がられて追い出されたりもする(という風景を私はクラシック音楽やフラメンコの世界で結構見たのだった)。

そんな彼らが続々と戻りつつある今の日本はとにかく面白いと思う。
だから、ピアノも日本流があって良いのだと思う。
ベートーベンやフォーレやヴェルディやアルベニスを現地で人一倍勉強して負けないように頑張って身につけようとした私達にしか作り出す事の出来ない奏法があり、能や雅楽が醸し出す楽譜には表記しないリズムと間の取り方を本能的に知っている私達にしか作れない音と音の繋ぎ方があるのではないか。

カツサンドが真から美味しいと思うように、真から頷きたくなってしまう日本ピアノ曲がこれから増えていく時代がやってくるように思えてならない。

それにしても、先週仙台で食べたカツサンドは美味しかった・・・。

  • 2015年07月16日(木)21時13分
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