DIARY

記事一覧

こりゃ寒い。

アップロードファイル 204-1.jpg

ドイツで学生時代を送っていた6年間の間、マイナス25度以下という気温を何度も体験した事があるので寒さにはそんなに驚かないと思っていたのですが、マドリッド郊外の山村でマイナス15度という気温となった先日、こりゃ寒いと思いました。

日が落ちてからあまりにも寒いのでとりあえず近所のバルに一杯飲みに行こうと車のエンジンをかけると寒さのあまりウンともスンとも言わず、仕方なしに徒歩で凍った小川を渡りながらバルにいって戻ってくると今度は水道管が凍結して水無し状態。
灼熱のアンダルシア生まれの愛犬ワサは初めて体験する寒さのあまりグッタリして頭も持ち上げられないほど衰弱犬となって明日にでも死にそうな目をして私を見つめるのです。

獣医に行こうにも車は動かず、水道屋さんに電話しても「自然解凍するまで手の施しようがありません」と解決方法もなく、とりあえず車と犬と水道管が治りますようにと祈って寝るしかありませんでした。

芸は身を助けるとはこのことでしょうか。翌朝元気を取り戻した車で、近所で評判という獣医に駆け込むと・・・3人いる獣医さんの内、2人が私のピアノコンサートに来てくれていたお客さんでレントゲンも診察もタダ。獣医さん、本当にありがとう。ワサの病状は「寒さストレスによる胃炎」と言う事でした。

二件落着したものの、問題は水道管です。日中になっても零度を上回らず、水道管は凍結したまま。結局それから3日間、水無し生活は続いたのでした。

当たり前の物が無くなると、その有難味が分るとはよく言ったもので、日頃私はこんなに水をジャンジャン使っていたのかとバケツで水を井戸に汲みに行くたびに反省したのでした。

当たり前の物が無くなった時、あっという間に日常生活のバランスが崩れそうになって、それを何とか保とうと日頃使わない脳細胞が活性化して突然何かを思いついたり、長い事忘れていた事を思い出したりするものです。
夜、水を汲みながら空を見上げると、星座が分らないほど満天の星空が広がっていました。
そういえば、キューバで暮らしていた時も水は常に断水していて、雨水が頼りでした。授業中に雨が降ってくると学生たちとビニールシートを持って校庭に飛び出して雨水を集め、ついでに雨のシャワーを皆で浴びながら歌い踊りました。バケツ一杯のお水を炊事、洗髪やシャワーから歯磨き、全てに行きわたるように上手に配分して使い切る技もキューバ人から教えてもらい、慣れてくるととても楽しかった事を覚えています。そんな貴重な水で入れたコーヒーは、コーヒー豆と煎り大豆のブレンドでしたが、どんな高級店で飲むコーヒーよりも美味しいものでした。

最近、星を見ても美味しいコーヒーを飲んでも、特に心が揺れるような感動をしなくなっていた、という事も水が無くなったお陰で気付いたような気がします。
忙しいから、気に行った音楽や映画に出逢わないから、面白い人との出逢いがないから、旅に出る時間がないから、と感動できない理由を外に求めていたという事なのでしょうか。

寒波が去って水道管も解凍して水が出るようになった日、向かいの野原にこんな虹がかかっていました。

  • 2012年02月10日(金)23時05分
powered by Web Diary